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JPRSが総務省の「ドメイン名政策委員会 報告書(案)」に対して意見を提出
2014/11/07
JPRSは、総務省 情報通信審議会 情報通信政策部会 ドメイン名政策委員会による「ドメイン名政策委員会 報告書(案)に対する意見の募集」(平成26年10月7日発表)に対し、意見を提出しました。
○ドメイン名政策委員会 報告書(案)に対する意見の募集(総務省)
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000085.html
○意見要旨
- 民間企業として市場動向を踏まえて料金も含めてどのようなサービスをお客様に提供するかということを企業自らの経営判断で決定することが適切。
- インターネットは民間主導かつグローバルな協調が確保される中で運営され発展することが重要かつ必須であり、法律による過度な規律が課せられることのないようにすべき。
- JPドメイン名については、セーフティネットとしての国の役割は現状の契約に定められており、仮に法律で規律する場合でも、この役割を定義するという最低限の範囲にとどめるべきであり、インターネットの特性を考慮した慎重な議論が必要。
- DNS運用の信頼性基準については、様々な意見を参考にしながらも、DNSの特性を熟知する専門家による議論が重要であり、かつ、その上で民間企業としての経営判断が必要。
- 会社情報の開示の形として有価証券報告書を参照することは不適切。
- インターネットガバナンスの議論の場については、日本に適した形での設計が必要であり、慎重な検討を行うべき。
提出した意見は以下の通りです。
意見書
平成26年11月6日 情報通信審議会 情報通信政策部会 ドメイン名政策委員会 主査 殿
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郵便番号 |
101-0065 |
住所 |
とうきょうとちよだくにしかんだ
東京都千代田区西神田3-8-1
ちよだ ひがしかん
千代田ファーストビル東館13F |
氏名 |
かぶしきがいしゃにほん
株式会社日本レジストリサービス
だいひょうとりしまりやく しゃちょう ひがしだ こうき
代表取締役社長 東田 幸樹 |
電話番号 |
03-5215-8451 |
電子メールアドレス |
higashida@jprs.co.jp | | 「情報通信審議会情報通信政策部会ドメイン名政策委員会 報告書(案)に対する意見の募集」に関し、別紙のとおり意見を提出します。
【意見要旨】
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民間企業として市場動向を踏まえて料金も含めてどのようなサービスをお客様に提供するかということを企業自らの経営判断で決定することが適切。
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インターネットは民間主導かつグローバルな協調が確保される中で運営され発展することが重要かつ必須であり、法律による過度な規律が課せられることのないようにすべき。
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JPドメイン名については、セーフティネットとしての国の役割は現状の契約に定められており、仮に法律で規律する場合でも、この役割を定義するという最低限の範囲にとどめるべきであり、インターネットの特性を考慮した慎重な議論が必要。
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DNS運用の信頼性基準については、様々な意見を参考にしながらも、DNSの特性を熟知する専門家による議論が重要であり、かつ、その上で民間企業としての経営判断が必要。
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会社情報の開示の形として有価証券報告書を参照することは不適切。
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インターネットガバナンスの議論の場については、日本に適した形での設計が必要であり、慎重な検討を行うべき。
【意見詳細】
頁 |
項目 |
意見 |
全体
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全体として、インターネットのグローバル性や、民間主導によって発展してきた経緯に配慮された報告書案となっていると考えます。また、これまでのJPRSの取り組みを高く評価していただいていることに感謝します。
DNSはインターネットの重要な基盤のひとつであり、インターネットの社会的な重要性がより高まっている中で、政府の役割を含めて幅広い議論が行われたことは、今後のDNS運用全体の安定性向上に寄与するものと期待しております。
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27頁 |
第4章2-(2)-④-イ
ドメイン名の登録料の決定方式の在り方 |
【総務省案】
登録料の決定方式に関し、例えば、国の認可制や届出制を導入することも考えられる。しかしながら、DNSの堅牢性の確保のためのコスト等は、その時々の世界の技術動向や運営ポリシーの考え方が反映されるものであり、国が一定の関与をする認可方式等ではなく、民間が自らの経営判断で決定することが望ましいものと判断する。
【意見】
ドメイン名市場は、TLD毎に料金も含めた特徴あるサービスが競争状態にあり、またこの競争状態は新gTLDの登場によりさらに多様性を増しつつあります。
このような状況においては、報告書案に書かれている通り、民間企業として市場動向を踏まえて料金も含めてどのようなサービスをお客様に提供するかということを企業自らの経営判断で決定することが適切であると考えます。
JPRSでは、JPドメイン名について「信頼性」「安定性」「利便性」「経済性」のバランスが大切であると考えており、様々なニーズを受け止め、サービスの向上に努めています。料金については「経済性」の要素として、他の項目についての取組を進めながらこれまで値下げを実施してきています。
これらの経営判断の結果として、JPドメイン名が世の中に受け入れられるものとして今に至っていると考えています。
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29頁 |
第4章-2-(3)
「信頼性」確保に関する規律の在り方について |
【総務省案】
サービス提供主体の経営破綻等、サービス提供において著しい支障を生じた場合のセーフティネットを担保する根拠としては、国の関与の範囲が明らかになり、また、確実な救済措置が担保されるという点において「法律」による規律には一定のメリットがあると考える。
【意見】
ここでいう「セーフティネット」とは、27頁の「再移管スキーム」の項で述べられている通り、ICANNとJPRSとの間の「ccTLDスポンサ契約」及び、JPNICとJPRSとの間の「JPドメイン名登録管理業務移管契約」において定義されている再移管に関する国の役割のことであると考えています。
この現状で定められているセーフティネットとしての国の役割を法律によって担保するということであれば、万が一の状況の際に国が動くための根拠を明確にするという意味で「一定のメリット」は理解できます。
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29頁 |
第4章-2-(3)
「信頼性」確保に関する規律の在り方について |
【総務省案】
インターネットは今後も民間主導かつグローバルな協調が確保される中で運営され発展することが重要かつ必須であり、法律による過度な規律が課せられる場合にはそれらが阻害されるというデメリットが懸念される。
したがって、民間主導が原則であること、ICANN等グローバルなルールに配慮されたものであることの2点が守られる場合には、こうしたデメリットを回避出来ることから、法律による規律は選択肢の1つとなりうると考えられる。
【意見】
報告書案に書かれている通り、これまで日本においては、「法律による過度な規律が課せられ」ることがない状況において、インターネットは「民間主導かつグローバルな協調が確保される中で運営され発展」してきています。日本政府においては、今後もこの姿勢を貫いていただきたいと考えます。
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29頁 |
第4章-2-(3)
「信頼性」確保に関する規律の在り方について |
【総務省案】
なお、法律で規律する場合は、法律による規律の内容や対象範囲を政府において検討するに当たっては、インターネットがグローバルな協調の下で動いていることから、DNSに関わる規律を作る際には、第4章1の「基本的考え方」にも記述したように、グローバルなルールを守ることを前提とした上で、「信頼性」を確保するという政策目的を実現する上で必要最小限のものとすることが必要である。
【意見】
仮にDNSに関する法律が作られるとしても、前述の「現状で定められているセーフティネットとしての国の役割を法律によって担保する」という範囲を超えるべきでなく、これが「必要最小限のもの」であると考えます。
報告書案に書かれている通り、DNSに限らずインターネットの多くの仕組みはグローバルな協調の下で動いています。また、DNSは現在利用されているインターネットの基盤を支える仕組みのひとつですが、速いスピードでの技術革新や利用範囲の拡大が続くインターネットにおいてDNSの仕組みやその役割が変わったり、DNSに変わる技術が現れることも考えられます。法律による規律については、このようなインターネットの特性を考慮し、今後の発展を阻害することのないよう、慎重な議論が必要と考えます。
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29頁 |
第4章-2-(3)
「信頼性」確保に関する規律の在り方について |
【総務省案】
また、信頼性に関する規律を法律で行う場合は、インターネットの民間主導による運営・発展の継続の観点から、信頼性基準はJPRSが作成することが望ましい。その際は、JPRS社内にとどまらず、利害関係者による様々な諸問題に対する意見交換や意見集約のためのオープンな場を設定することも、民間主導の原則を一層充実させる観点から重要であると考える。
【意見】
DNS運用の信頼性基準については、様々な意見を参考にしながらも、DNSの特性を熟知する専門家による議論が重要であると考えます。
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29頁 |
第4章-2-(3)
「信頼性」確保に関する規律の在り方について |
【総務省案】
JPRSが信頼性の基準を作成する際には、そのようなオープンな場で集約された信頼性の基準等についての意見を尊重することにより、さらなる信頼性の向上につなげることが期待される。
【意見】
民間企業(株式会社)として、社外の声に耳を傾けよりよいサービス提供に努めることは当然のことですが、その声にだけ従えば、過剰な投資により経営的な不安定を招く懸念などもあります。
このためにも、バランスを考慮した経営判断が必要であり、報告書案に書かれているように「意見を尊重する」という扱いが適切であると考えます。
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31頁 |
第4章-3-(2)-②
会社情報等の情報開示の在り |
【総務省案】
情報開示の充実を考える場合、経営の実態等を示す財務情報など、事業継続性・安定性の予見可能性が確保されるという観点から、有価証券報告書等の上場企業並みの開示が想定される。
【意見】
有価証券報告書は金融証券取引法に基づく投資家保護を目的としたもので、その内容が本報告書案で求められている目的と完全に一致しているかどうかは論じられていません。
有価証券報告書の作成は大きな負担を要するものです。また、既存の電気通信事業法における事業者の財務情報開示に照らしても、明らかに多くの情報開示となるものです。どういう目的のためにどういう情報開示が必要かを十分に検討した上で、情報開示項目を定める必要があると考えます。
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33頁 |
第4章-5
インターネットガバナンスの議論の場 |
【総務省案】
ただし、その際はマルチステークホルダープロセスについて、
(1) マルチステークホルダープロセスによる決定を最終的な決定とすることは、その在り方によっては、多様な意見が存在することにより決定に時間を要する場合やそれぞれの結論に一貫性が欠けるが場合あること等から、ドメインを「安定的に運用する」という非常に重要な要請と相容れないおそれがあること、
(2) 我が国においては(ある意味グローバルにおいても)、広く一般に用いる事が出来るマルチステークホルダープロセスとして承認された手法・手続きがいまだ存在しないこと。具体的には、ICANNにおいてグローバルなマルチステークホルダープロセスについての議論が行われているところであり、また、各国のドメイン名の管理・運営において、マルチステークホルダープロセスが広く導入されている訳では無く、ブラジル等のごく一部の国におけるドメイン名の管理・運営の仕組みがマルチステークホルダープロセスの例として注目されている段階であること。
といった懸念があることを十分踏まえた検討が必要である。
【意見】
記述されている通り、マルチステークホルダープロセスについては、まだ国内外において様々な議論や試行錯誤的な適用が行われているところです。マルチステークホルダープロセスは、場面や目的によってそれを導入すべきところとそうでないところがあり、また導入する場合でも適した形は異なるものです。ICANNやブラジル等の事例とまったく同じ形を日本においても導入すればよい、ということではありません。
実装を進めるとしても、日本に適した形、そしてドメイン名を対象とするに適した形での設計が必要であり、報告書案に書かれているように、慎重な検討を行うべきと考えます。
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37頁 |
[参考]
政策の実現に向けての留意事項 |
【総務省案】
インターネットの場合、いわゆるマルチステークホルダーによるグローバルな協調の下で、国境を越え様々な取組が行われてきていること等から、将来に向けての発展のダイナミズムが失われないよう、国と民間の役割分担を明確に定めることが必要と考える。政府における制度整備は、今後のインターネットの発展と運用の継続を阻害しないこととインターネットの利用者の利益が確保されるようにすることとの、全体のバランスの下、制度整備が図られることが重要である。
【意見】
報告書案に書かれている通り、DNSに限らずインターネットの多くの仕組みはグローバルな協調の下で動いています。また、DNSは現在利用されているインターネットの基盤を支える仕組みのひとつですが、速いスピードでの技術革新や利用範囲の拡大が続くインターネットにおいてDNSの仕組みやその役割が変わったり、DNSに変わる技術が現れることも考えられます。法律による規律については、このようなインターネットの特性を考慮し、今後の発展を阻害することのないよう、慎重な議論が必要と考えます。
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