JPドメイン名登録管理業務移管契約
JPドメイン名登録管理業務移管契約
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(以下、「甲」という。)と株式会
社日本レジストリサービス(以下、「乙」という。)とは、次のとおり契約(以下、本件
契約」という。)を締結する。
第1条(目的)
1. 甲は、乙に対し、JPドメイン名登録管理業務(以下、「本件業務」という。)を、
2002年4月1日(以下、「移管日」という。)をもって移管するものとする。但し、
手続上の事由その他合理的な必要性があるときは、甲乙協議の上、移管日を変更
することができる。
2. 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる業務の事項については、甲が行うもの
とする。
(1) JPドメイン名紛争処理方針、JPドメイン名紛争処理手続規則の制定
(2) JPドメイン名紛争処理機関の認定
(3) 別途甲乙及びエスクロー・エージェント間で締結されるデータエスクローに
関する契約に基づいて甲が行う業務
(4) その他上記各号に付帯する業務
第2条(定義)
本件契約では、以下の定義を適用する。
(1) 「ICANN」、ここでICANNとは、米国カリフォルニア州の非営利法人The Internet
Corporation for Assigned Names and Numbers のことである。
(2) 「政府当局」、ここで政府当局(Governmental Authority)とは、ICANN政府諮問
委員会(Governmental Advisory Committee)への日本政府代表として規定される、
政府当局のことである。
第3条(移管対象)
第1条により甲が乙に移管すべき財産(以下、「本件移管財産」という。)は、移管日
現在における本件業務に属する動産等とし、その具体的な内容は、本件契約の締結後、
甲乙協議の上、すみやかに決定するものとする。
第4条(職員の取扱)
本件業務に従事する職員との甲の雇用契約上の地位は、本件移管財産に含まれないも
のとする。
第5条(移管日前の甲の債権・債務の扱い)
本件業務に関し、2001年4月1日から2002年3月31日までに発生しかつ移管日に存続する
債権・債務は、本件移管財産に含まれるものとする。
第6条(移管価格及び支払方法)
1. 本件移管財産の対価(以下、「本件移管対価」という。)は、2002年3月31日にお
ける甲の帳簿価額によるものとし、消費税及び地方消費税は、別途乙が支払うも
のとする。
2. 本件移管対価の支払方法及び支払時期は、本件契約の締結後、甲乙協議の上、す
みやかに決定するものとする。
第7条(移管財産の引渡し)
1. 甲は乙に対し本件移管財産を移管日における現状有姿にて引渡すものとし、債権
譲渡の対抗要件具備等必要な手続きの詳細については、本件契約の締結後、甲乙
協議の上、すみやかに決定するものとする。
2. 本件移管財産の引渡しに関し費用が発生する場合は、費用の負担者及び負担方法
等を、甲乙協議の上、決定するものとする。
第8条(善管注意義務)
甲は本件契約の締結後移管完了にいたるまで、善良なる管理者の注意義務をもって本
件移管財産を管理しなければならない。
第9条(損害賠償)
甲又は乙が、本件契約に定める義務に違反し、相手方に損害が生じたときは、相手方
は、義務に違反した当事者に対し損害賠償請求することができる。
第10条(解除)
1. 甲又は乙が、本件契約に定める義務に違反し、移管日後3ヶ月を経過しても、本件
業務を移管することができず、その他本件契約の目的を達成することができない
ことが明らかになったときは、各当事者は相手方に通知することにより本件契約
を解除することができる。
2. 前項に定める解除権の行使は、前条に定める損害賠償請求を妨げないものとする。
第11条(第1条第2項の業務に関する費用支弁)
第1条第2項各号に定める業務は、乙の本件業務遂行に不可欠であることから、甲がこ
れを遂行するために必要な費用は、乙が全部又はその一部を負担するものとし、JPド
メイン名の登録料収入、維持料収入等の一部をもって支弁され、その額は甲乙協議の
うえ決定するものとする。
第12条(第1条第2項の業務に関する意見聴取・説明)
甲は、第1条第2項各号の業務の実施に関し重要な事項が生じた場合、乙の意見を聴取
するものとし、乙は、必要に応じて甲に対し、同号の業務の実施状況について説明を
求めることができる。
第13条(JPRSの責任)
1. 乙は、本件業務が公共性を持つことを認識し、日本のインターネットコミュニテ
ィの健全な発展に寄与することを目的とし、かつ、全世界のインターネットコミ
ュニティの発展にも資するように本件業務を運営する。
2. 乙は、本件業務の公共性を担保するため、乙の内部に「JPドメイン名諮問委員会」
を設置する。
3. 乙は、本件業務の公共性を担保するため、甲及び政府当局が共同で行う、次条に定
める手続に従うことに同意する。
4. 乙は、甲の制定するJPドメイン名紛争処理方針を採用し、その紛争処理手順を実
施する。
5. 乙は、本件業務を公益的な信託に基づいて実施し、JPドメインそれ自体に関する
財産権を主張しない。
6. 乙は、ICANNとのJPドメイン名登録管理に関するccTLDスポンサ契約に基づくポ
リシーを遵守しなければならない。
7. 乙は、ICANNから委任されるJPドメイン名登録管理者の受任者たる地位を、第三
者に譲渡してはならない。
8. 乙は、受託者となる第三者がICANNの要求する技術資格を保有することを保証し、
かつその旨ICANNに通知することなくして、ccTLDレジストリの技術的な運用業
務の一部又は全部を第三者に委託することはできない。
9. 乙は、ccTLDレジストリの技術的な運用業務又はccTLDの運営・管理業務の一部又
は全部を第三者に委託する場合、当該委託契約において、委任そのものが公共に
属する権利の行使であり、財産権とはならないことを明記する必要がある。
10. 乙は、次条第7項によって承認されたエスクロー・エージェントと契約し、レジス
トリデータの預託を行う。
11. 乙は、次条第6項に定める手続きによって、再移管先が決定されるまでの間、本件
業務を行う。
12. 乙は、再移管先が指定された場合、全ての関連するレジストリデータをその移管
先に移転する。
13. 乙は、本件業務の遂行にあたり、関連する日本国内法令及び国際法・国際条約を
遵守する。
14. 本条第1項から第13項までの事項は、乙が日本以外に本拠を移すこととなる場合
にも適用される。
第14条(JPドメイン名の公共性の担保)
1. 乙は、JPドメイン名諮問委員会の答申、及びそれに対する乙の対応等について、
甲に対して随時報告を行う。甲は、速やかに政府当局に対してそれを報告する。
2. 乙は、財務及び経理等に関し、別途甲乙協議の上決定された事項について、甲に対
して、少なくとも年1回報告を行う。甲は、速やかに政府当局に対してそれを報告
する。
3. 甲及び政府当局は、いずれか一方からの求めに応じて、乙が前条に定める責任事項
に違反しているかについて相互に協議を行い、違反があると判断した場合は、乙
に改善を勧告する。
4. 前項の勧告が、前条に定める責任事項に関する重大な違反によるもので、 乙が正
当な理由なくして違反状態を是正しない場合には、甲及び政府当局は相互に協議
の上、乙に対して本件業務の再移管の予告を書面によって通知する。
5. 乙が、前項の予告通知を受けてから合理的な期間内に正当な理由なく違反状態を是
正しない場合、甲及び政府当局は相互に協議の上、本件業務の再移管を決定する。
6. 乙が破産若しくは支払不能の状態になった場合、又は前項により再移管が決まった
ときは、甲と政府当局は、相互に協議の上、速やかに新たな移管先を決定する。
7. 甲及び政府当局は、乙が契約を行うエスクロー・エージェントについての承認を行
い、乙は、当該エスクロー・エージェントと契約を結ぶものとする。
8. エスクロー・エージェントは、前項により再移管先が決定された場合は、速やかに
レジストリデータを移管先に移転する。
第15条(効力の発生)
本件契約は、次に定める全ての手続の完了をもって効力が発生するものとする。
(1) 甲において移管に必要とされる手続の完了
(2) 乙において移管に必要とされる手続の完了
(3) ccTLDスポンサ契約の締結
第16条(覚書の効力)
本件契約の内容が、甲乙間で締結された2001年11月9日付JPドメイン名登録管理業務
の移管に関する覚書の趣旨に矛盾する場合、覚書が優先するものとする。
第17条(合意管轄)
甲又は乙が、本件契約又は本件契約に付随関連する事項について訴訟を提起する場合、
東京地方裁判所をもって第一審専属合意管轄裁判所とする。
第18条(協議)
本件契約に定めなき事項又は本件契約の解釈につき疑義が生じた場合は、甲乙協議の
上、解決するものとする。
本件契約の締結を証するため本書2通を作成し、甲乙双方が記名押印のうえ、各1通ずつ保有
するものとする。
2002年1月31日
甲 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
理事長 村 井 純
乙 東京都千代田区神田小川町1-2風雲堂ビル3階
株式会社日本レジストリサービス
代表取締役社長 東 田 幸 樹