委員会資料
第68回JPドメイン名諮問委員会議事録
株式会社日本レジストリサービス 第68回JPドメイン名諮問委員会 議事録
1. 日 時: 2020年9月29日(火) 15:00 ~ 15:45
2. 場 所: 株式会社日本レジストリサービス 東京本社 大会議室
東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館13F
3. 出 席 者: 後藤滋樹 委員長
金子宏直 副委員長
梅村研 委員
浦川伸一 委員
岸川徳幸 委員
佐々倉秀一 委員
唯根妙子 委員
4. 同 席 者: 宇井隆晴 (JPRS 取締役)
岩谷理恵 (JPRS 事務局)
佐々木俊博(JPRS 事務局)
松丸真紀子(JPRS 事務局)
5. 次 第:
1. 開会
2. 議題
(1) 第10期JPドメイン名諮問委員会における委員の交代について
(2) 諮問「ドメイン名登録時には登録資格を満たしていたが、登録後に
登録者が登録資格を喪失した場合のJPドメイン名の扱いについて」
への答申書(案)について
3. 閉会
6. 資 料:
資料1 第10期JPドメイン名諮問委員会委員一覧
資料2 答申書(案)
参考資料1 JPドメイン名諮問委員会規則
参考資料2 諮問書「ドメイン名登録時には登録資格を満たしていたが、
登録後に登録者が登録資格を喪失した場合のJPドメイン名の
扱いについて」(JPRS-ADV-2020001)
参考資料3 答申骨子
7.議 事:(◎は委員長、○は委員、●はJPRS取締役及び事務局)
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<開 会>
●出席状況の報告の前に第10期JPドメイン名諮問委員会における委員の交代につ
いて事務局から報告する。
●2020年7月20日付の総務省人事異動にて、総務省 総合通信基盤局 電気通信事
業部 データ通信課長が山碕良志様から梅村研様に交代となった。
日本国政府の分野につきましては、定期的な人事異動を考慮し、個人名でなく、
データ通信課長という所属/役職で推薦いただいているため、異動の際には、
後任の方に就任いただくこととなっている。新しくデータ通信課長に就かれた
梅村研様には就任の承諾をいただき、8月7日付で委員にご就任いただいた。
以上、委員の交代について報告した。
●本日の委員会には、後藤滋樹委員長、金子宏直副委員長、浦川伸一委員、梅村
研委員、岸川徳幸委員、佐々倉秀一委員、唯根妙子委員、以上7名全員の出席を
いただいている。従って、JPドメイン名諮問委員会規則第13条に規定されている、
開催に必要な定足数を満たしていることを報告する。
本日、JPRSからは、宇井隆晴、佐々木俊博、松丸真紀子、岩谷理恵が同席する。
<議題(1) 第10期JPドメイン名諮問委員会における委員の交代について>
◎「第10期JPドメイン名諮問委員会における委員の交代について」は、委員会の
冒頭で、事務局より報告いただいたのでそれ以上の報告と議論は行わないという
ことでよいか。
○異議なし
◎梅村委員より、一言ご挨拶をいただければと思う。
[梅村研委員よりご挨拶]
<議題(2) 諮問「ドメイン名登録時には登録資格を満たしていたが、登録後に
登録者が登録資格を喪失した場合のJPドメイン名の扱いについて」への答申書
(案)について>
◎第67回委員会で提出された諮問書について、同委員会にて大筋で意見の一致を
得られた。その方向性に基づき、私と事務局にて答申骨子(案)を作成し、各委
員へのメールでの確認を経て、答申骨子として確定した。この答申骨子に基づき、
答申書(案)を私と事務局にて作成した。本日は、答申書(案)について議論し、
答申書の内容を固めていきたい。
答申書(案)について、事務局より説明いただきたい。
[事務局より資料について説明]
- 資料2 答申書(案)
○登録資格を喪失した場合の例として想定しているものについて、実例を挙げて
説明いただけると理解が進むかと思う。また、それに関連して、JPドメイン名の
場合はローカルプレゼンスが前提となるが、そのローカルプレゼンスがなくなる
場合は登録継続の対象にならないという想定か。
●具体的な事例の一つとして、学校がある。たとえば「ac.jp」ドメイン名は大
学等が登録出来るものだが、それを登録していた大学がなくなってしまい、大学
を設置していた法人は残っている、といったケース。このような場合は、設置法
人であれば元々「ac.jp」を登録出来ると思うが、設置していた大学がない状態
であるため、規則に照らすと登録資格がなく、その設置法人に「ac.jp」を移転
させることができない。しかし、大学がなくなったからといってそのドメイン名
もなくなってよいかというと、決してそうではない状態の方が多い。たとえば、
「大学は閉校した」という情報の提供や、卒業生に対しての成績証明などのサポ
ートをしていかなければならない。設置法人がそのような活動を残していくこと
が出来ればよいが、「元々の大学のホームページにアクセスしたがたどりつけな
い」という状態が一時的にでも発生してしまうのは、混乱を招くだろう。前回も
そのような議論をしており、「大学がなくなってしまった場合には、その大学を
設置した法人に関連付けて『ac.jp』ドメイン名を時限付きで登録維持していた
だき、必要な情報提供などを当面行っていただけるようにする」という措置が必
要ではないか、という点が今回の論点の一つである。
ローカルプレゼンスについては、JPドメイン名のサービスを登録者として受け
ていただく際に必要な用件である。今回のように例外的にそういった資格のない
方が登録を維持することを認める中でも、ローカルプレゼンスという要件だけは
外すべきではない、ということが今のところの検討内容である。
○理解した。
○今回の答申骨子については、前回の議論を正確に反映した記載になっていると
読み取れるため、私としてはまったく異論がない内容と考えている。前回委員会
の際にも少し議論があったと思うが、今後JPRS側でどのように登録資格の喪失を
認知していくのか、また一定期間の継続について期間をどのようにするか、とい
った論点から、具体的な運用方法をもっと詰めていく必要があると改めて認識を
した次第である。
◎前述のご指摘のように、具体的な事項は決めておらず、JPRSのドメイン名に対
する実務や施策の中で反映し、実行していただく必要がある。
今後も引き続きJPRSに対応状況を報告していただく、あるいはまた何か相談事項
があればこの委員会に話題として出していただく、というのが前提と考えている
が、JPRSとしてはいかがか。
●承知した。JPRSとして、答申書を受領した後はその実装を検討していくことに
なる。実際にはそこに課題があるというご意見は、その通りだと思う。
また、議論の最初にいただいた「登録資格も含めた登録情報をどのように保って
いくのか」というご質問については、今回の論点にも入っており、登録者が登録
情報を正しく保つことにプラスのモチベーションを持っていただけるようなサー
ビスでなければいけないと考えている。
「登録資格を喪失したことを正直に申告するとドメイン名の登録を継続できなく
なるため、申告しないでおこう」というネガティブな動きにつながる傾向にある、
という点は今回の論点の一つでもあった。登録者としての権利をきちんと主張し、
守っていくためには、正しく登録情報を登録することが必要なのだというような
良い方向に循環するサービスとして今後も整えていくことが必要と考えている。
◎よろしくお願いしたい。「JPRSに相談をすると藪蛇になり、ドメイン名を使え
なくなるのではないか」と思われることが最も避けたい状況。出来るだけ世の中
が混乱しないように整備していくという話だと認識した。
大学に関しては設置が必ずしも学校法人ではなく国であったりする。インターネ
ットが始まってからも、統廃合を行ってきた学校はいくつかあり、混乱は生じて
いないと考えているが、その都度色々と相談の上、対応をしていたのだと思う。
つまり、相談を経て対応を決めており、杓子定規に決めているわけではないとい
うことである。
他にいかがか。
○ここまで、積み上げた議論を反映していただいてありがたく思う。私はこの
内容で賛同する。
◎実際の実務に近い方からのコメントはありがたい。
○何点か後学のためにお聞かせいただきたい。
主文の第3段落目に「登録を継続できる期間は無期限とはせず、限定された所定
の期間を原則とする」とあるが、期限を設けないということもあり得るのか。ま
た、期間とはおおよそどの程度の長さで考えているのか。まだ固まっていないか
もしれないが、イメージがあれば教えていただきたい。
また、ドメイン名の場合、たとえば「co.jp」であれば、同じ名前の会社がその
ドメイン名の登録を希望するということがあるかもしれないが、そのような状況
に配慮して登録継続期間を短くするという措置はしないのか。
もう一点、第4段落目の「インターネットユーザーの混乱を避けるために、例外
的なドメイン名登録であることを明示するのが望ましい」とあるが、これはどこ
で明示することをイメージしているのか。Whoisなどの中で明示するということ
か。
最後に、これもおそらく皆さまご承知の問題かもしれないが、今回議論している、
登録資格を喪失してドメイン名が廃止されるまでの期間の話は、汎用JPドメイン
名にある1ヶ月間の登録不可期間や、属性型JPドメイン名にある6ヶ月間の登録不
可期間などに影響を与えることはないという解釈でよいか。
●まず期間が有限なのか無限なのかというところについては、ある一定期間の間
に生じるであろう混乱を回避するために例外を認めることが趣旨であるため、一
連の議論は、無限ではなく有限であるのが前提だと認識している。その前提のも
とで、文書内の言葉では「所定の期間」とある期間は何年なのかというと、リミ
ットを一律に定めることは、個別の事情により難しいと思っている。よって、今
後の実装の検討の話になるが、たとえば1年や3年といったサイクルを一つ用意し、
そのサイクルごとにさらなる延長が必要かどうかということを確認する、といっ
た形で運用していくのが現実的ではないかと考えている。
インターネットユーザーへの明示をどこで行うかについて、前回の検討用資料の
中では、Whoisを引くと「このような特別な事情のドメイン名である」と表示さ
れるようにするのはいかがかと提案した。
「co.jp」などは特に顕著だが、誰かが登録していたドメイン名が解放されたの
であれば、次は自分が登録したいというニーズはかなりあると思う。しかしニー
ズがあるからといって、登録継続期間を短くするという個別の判断を下すことは
ないと思う。一般的にそのようなニーズがあるということも踏まえて、登録継続
期間は無期ではなく有期であることと、いたずらに長くしないことが一つの判断
であると考えている。
汎用JPドメイン名であれば1ヶ月、属性型JPドメイン名であれば6ヶ月ある、ドメ
イン名廃止後の一時凍結期間については、今回の実装の結果でもあるが、例外的
にいくらか登録を保持した後の廃止は、規則通り一時凍結期間を設けるのが前提
であると、今のところは考えている。
◎金融機関が合併するときに廃止されるべきドメイン名を悪用して暗証番号、口
座番号を入手する詐欺が考えられる。このような詐欺が横行するのは合併の前後
の時期と思われる。合併から相当期間が経過すれば新しい金融機関名が良く知ら
れているだろう。登録を継続する期間は、自ずからそれぞれの事例に合った長さ
になるのではないか。
学校に関して、成績証明書の記録が残り続ける大学もあるが、そこまで古いもの
は残っていなくとも、確認先がわかれば良いということだろうと思う。
ただ、先ほど話があったように、金融機関も学校も一律に同じ期間というわけに
はいかないと思う。それぞれご苦労があるかと思うが、相談出来るところは相談
をし、第三者の意見も聞いていただいて、後のトラブルが少なくなるように、と
いうことかと思う。
「廃止されたドメイン名を狙う」ことは、日本ではあまり見られない活動と思う
が、その活動と思われる事象が過去に観測されているため、ぜひ引き続き注意を
払っていただきたい。
他にいかがか。
○今の委員長のお考えに非常に賛同する。
たとえば、「co.jp」を使っている我々のような企業のケースだと、我が社の社
名も何年かに1回変わっている。ドメイン名は半年間の並行期間では自動転送す
るようにして、並行期間終了後は利用を停止するような運用をしている。
企業の場合は半年や1年など、常識的な範囲で定めるのがよいと思う。しかし委
員長がおっしゃるように、金融機関であるケース、一般企業であるケースといっ
たように、企業の業態に合わせ、パターンを分けた議論をしてもよいのではない
かと考える。
あとは、アカデミアや「co.jp」以外の(「ac.jp」などの)ドメイン名について
も同様で、いくつかの議論を経た上で、少しずつコンセンサスを導き出すのが適
切と思った。
◎他にいかがか。
○直接の関係はないかもしれないが、ある国の民主化を支援する団体が日本にあ
り、JPドメイン名を持っていたときに、その国から「違法性がある」という指摘
をされた場合はどのように扱っていくのか気になった。日本は非常に平穏なので
そうした状況はあまり想定していないと思うが、合法で何の問題もなかった団体
が、外国からは違法に見られた場合はどのような形になるのか、ご教示いただき
たい。
●まず「ドメイン名の登録」という我々のサービスの視点からの話をさせていた
だくと、登録規則上は、「登録者が外国から違法認定されているか」というとこ
ろに特段の定めはない。そのため、日本国内においてその登録資格を持つ組織で
あるという状態が保たれていれば、引き続きドメイン名は登録いただけると考え
ている。
外国との関係という観点では、組織に対する違法性認定とはまた少し異なるが、
たとえば外国の裁判で下された「そのドメイン名を取り消せ/移転せよ」という
判決がごくまれに届くことがある。この対応に関しては登録規則の中で定められ
ており、日本国内で効力を有する外国の裁判所での判決があれば、それに従って
ドメイン名の取り消しなどを行うことがある。
しかし、今ご質問いただいた話はそれとはまた違う話かと思う。今の規則解釈と
しては、きちんと資格がある組織として存続していれば引き続き登録いただける、
ということだと思う。
○皆さんがおっしゃる通り、登録が継続できる期間は無期限とはせず、個別の事
情を勘案して決めるという方向で決めるべきだとは思うが、一点気になることが
ある。「JPRSが個別の事情を勘案して、登録の継続を決定する」という形になっ
ているため、それがブラックボックスに見えてしまいかねないのではと思う。運
用の際は、それが公正に行われていることを、何かしら証明出来るよう検討して
いただきたい。JPRSは企業であるため、伏せなければならないところがあるとい
うことも勘案しなければならないとは思うが、ぜひとも検討していただきたい。
◎実際の運用に当たってのご注意ということだが、JPRSはいかがか。
●レジストリの立場で必要な姿勢だと思うので、実装の検討の際に、今のご意見
も含めて形を考えさせていただきたい。
◎今後具体的な方法を決めた際には、引き続きこの諮問委員会の場でもご紹介い
ただけると思っている。
色々とご意見やご質問、個々の運用についてのご注意をいただいているが、
文書としてはこの内容でよろしいか。
○異議なし
◎それでは、本日は全委員ご出席のため、全委員賛成ということで答申書は確定
とし、JPRSに提出をする。
なお、すでに何度か申し上げたが、今後具体的な運用の検討を進めていくに当た
っては、また色々とご報告をいただきたい。場合によれば相談事項も出てくるか
もしれないが、先ほど他委員からご指摘があった通り、JPRSが恣意的に行ってい
るという誤解を避けるため、これまでも大変公明正大に、公共性の担保を第一に
運用していただいたと思うが、今後もぜひその姿勢でよろしくお願いする。
《今後の予定について》
◎第68回JPドメイン名諮問委員会の議事は終了とする。次回の委員会の具体的な
日程については、また後日、事務局より調整させていただく。
<閉会>